経営コンサルタントとして唯一の国家資格、中小企業診断士。高いスキルが求められるため、1次試験も2次試験も極めて難関です。だからこそ、中小企業の経営課題に対して診断・助言を行うプロフェッショナルとして、その活躍が期待されています。
この中小企業診断士の資格取得に向けては、1次試験合格後に2つの道があります。ひとつは、2次試験に挑戦し、合格した上で実務補習を受ける道。もうひとつは、2次試験と実務補習が免除される「登録養成課程」を受講する道です。
相対的な人数は2次試験の道を選ぶ人の方が多いのですが、登録養成課程には登録養成課程の良さがあります。知る人ぞ知るそのメリットを、実際に経験した方にうかがいました。お話をしてくださったのは、企業内診断士として活躍する河野博彦さんです。ワーク・ライフ・バランス的にも、登録養成課程はお勧めだそうです。ぜひご参照ください。
今回お話を聞いたのは・・・
中小企業診断士(第10期登録養成課程修了)
金融機関勤務 営業職
河野 博彦 さん
私が中小企業診断士(以下「診断士」)の資格取得を意識し始めたのは、数年以上前になります。金融機関の営業担当として働いて10年を過ぎた頃でした。
営業担当の仕事は、主に中小企業を対象とした外回りです。従来からお付き合いのあるお客様もいらっしゃいますが、自分で新しいお客様を開拓する必要があります。そうした際、一般的には、融資のニーズをうかがった上で、決算書を確認後、融資制度商品を案内し、返済期間や利率などの諸条件をお話しすることになります。私もそうした営業スタイルを続けていました。
しかし次第に、「このやり方を続けていていいのだろうか?」と考えるようになったのです。相手のビジネスモデルを理解し、今までよりも相手の懐に飛び込んだ営業スタイルに変えなければ、お客様の反応も変わりませんし、自分が成長できないような気がしたからです。プラスアルファの強みを持ちたいと思いました。
そこで注目したのが、幅広い知識を身につけ、中小企業であるお客様の力になれる診断士です。幸い、私の場合は、同じ職場に診断士の資格を持っている人が何人かいました。資格試験に挑戦中の人もいました。ただ、その様子をうかがうと、平日も休日も学校に通うなど時間的に厳しそうな印象を受けました。家庭での時間も少ない様子でした。ですから、挑戦する覚悟を持つことができなかったのです。
ところがその後、内勤業務の係に異動することになりました。しかも、上司から「君を時間の融通が利く内勤に異動させたのは資格にチャレンジさせるためだ、挑戦してみなさい」と言われたのです。その言葉は、もしかすると冗談だったのかもしれません。しかし、私は真に受けました。すでに、診断士に興味を持っていましたし、確かに営業担当よりも時間の融通が利きます。
「やってみようかな、いや、やるしかない」。
これが、診断士の学習を始めたきっかけです。
学習にあたっては、ある学校の通学講座を受講し、1次試験に合格したのは2015年9月です。同じ年の2次試験にも挑戦しましたが、残念ながら2次試験は不合格となりました。
そこで、2つの選択肢を考えました。もう1年間、2次試験の勉強をして合格を目指すのか?それとも、2次試験と実務補習が免除される登録養成課程に通うのか?
それぞれにメリット・デメリットはあります。
2次試験の勉強をして合格を目指すなら、費用は安く抑えられます。しかし、必ずしも合格するとは限りません。もし不合格だった場合、もう一度、1次試験を受け直す必要があります。
一方、登録養成課程に通うなら、それなりの費用はかかりますが、きちんと出席して要件さえ満たせば、確実に資格を取ることができます。さらに、実践的な学びを得ることができます。
妻にも相談しました。いずれの道を選ぶにしても勉強には時間を要するため、家族の協力が欠かせないからです。そうすると妻は、「協力はするけれど家族との時間も欲しい」と言います。私自身、家族との時間を大切にしていますので、同じ思いでした。
そこで、登録養成課程のカリキュラムまで含めて検討しました。実施機関によって、通学条件などが異なるからです。
代表的なカリキュラムは3通りです。ひとつは、働きながら2年間かけて通学するパターン。2つめは、半年間の短期ではあるものの、勤務先を辞めて平日に通学するパターン。そして3つめは、働きながら1年間かけて通学するパターンです。
これらのうち、私に最も合っていたのは3つめでした。2年もの長期間、モチベーションを保つのには不安がありましたし、会社を辞めることは考えていませんでしたから。
働きながら1年間かけて通学するパターンを採用しているのは、日本マンパワーだけです。通うのは、火曜・木曜の18:45~21:45と土曜の10:00~17:00の週3日。2次試験に挑戦するのとは違って、基本的に日曜は学習する必要がありません<注1>。
これも大きなポイントとなりました。私は1次試験の時でさえ、家を空けることが多く、家にいても勉強を最優先していました。その点、登録養成課程であれば、少なくとも週に丸1日、家族との時間をゆったりと過ごせます。
こうしたことを考え合わせ、無料説明会に参加し、知識確認プレ課程に合格後、最終的に日本マンパワーの登録養成課程を受講することを決意しました。
<注1>実習期間を除きます。
登録養成課程のクラスメイトは自分を含めて24人です。初顔合わせの時に感じたのは、さまざまなバックグラウンドの人がいるということです。年齢は20代から60代まで。業種も、メーカー、金融、IT、自営業の方など多業種です。それまで私は、お客様は別にして、他業種の人と深く関わる機会があまりありませんでした。いわば井の中の蛙です。ですから、得意分野の異なる人と接することは、とても刺激的で勉強になりました。
特に、プレゼンテーションが印象に残っています。講座は、講義と演習が行われ、理論と実践を積んでいくのですが、毎回のようにグループワークがあります。そして、ワーク後にはグループの代表者がプレゼンテーションします。その際、非常に上手な人がいるのです。それを見て、自分の拙さを実感するとともに、参考にすることができました。
また、人によって考え方も違います。クラスメイトの考え方を聞いて、「こういう考え方もあるのだな」と勉強することができました。
さらに、1年間のカリキュラムの中には、実際に企業を訪問してコンサルティングを行う実習が5社分あります。1社につき3回の訪問<注2>。最終日には診断報告書の提出とプレゼンテーションを行います。1チーム7~8人で協力して行うのですが、こちらも非常に勉強になりました。
ヒアリングや調査をする力、企業の課題を見つける力、解決策を考える力、診断報告書を書く力、分担して協力する力、チームをまとめる力など、さまざまな力が養われる機会でした。特に、リーダーまたはサブリーダー役になると、キャラクターの強いクラスメイト(笑)をまとめて、限られた時間の中で段取りよく診断報告書を作成しなければなりません。そうした机上の学習では得られない経験をできたのは、非常に有意義でした。
そうして、2017年4月1日に予定通り診断士として登録することができました。結果的に、妻も非常に喜んでくれました。私もモチベーションを保つことができました。今思えば、1年限りだとわかっていたからこそ、終えられたような気がします。
<注2>1回目の実習のみ、4回の訪問となります。
登録養成課程で学習したこと、診断士の資格を得たことは、さまざまな面で良かったと思います。
特に、診断士挑戦のきっかけとなった、自分の営業スタイルが変わりました。お客様を訪問した際、状況やニーズをうかがって課題を抽出し、対応策を考え、お客様に役立つような提案をすることができるようになりました。ヒアリングのポイントや深掘りの仕方が身についたのかもしれません。診断士学習を通して学んだ知識は非常に幅広いため、間口を広げてアンテナを立てられるようになりました。ご提案できる範囲も広がりました。その意味では、自分の幅を広げられたと思います。
また、営業現場において専門的な課題が生じると、通常は、次の訪問機会に専門家を伴うのですが、診断士の資格を取ったおかげで、ある程度までは自分で対応することができるようになりました。そのうえで専門家につなぐことで、お客様へのスムーズな対応が可能になっていると思います。こうした対応ができるのは、おそらく登録養成課程で実践的な学びをしたからだと思います。2次試験および15日間の3回の実務補習でここまでできるようになれたかどうか、私にはわかりません。
今後も、さらにお客様の役に立てるよう、中小企業の経営者の良き相談相手となれるよう、精進していきたいと思います。
登録養成課程を選ぶかどうか迷っている人にとっては、ネットワークの構築も重要なポイントだと思います。特に、将来、独立開業を考えている人にとっては、ネットワークが大切な財産となります。診断士は、人によって得意な業種・分野が異なるので、紹介の機会が多いからです。
その点、登録養成課程であれば、1年間共に学ぶクラスメイトは確実なネットワークとなりますし、すでに約200人存在する日本マンパワーの講座修了者にネットワークを広げることも可能です。また、30人近くに及ぶベテラン講師の方々ともつながることもできますので、私のような企業内診断士であっても、資格取得後も必ず何らかの形で活かせるはずです。
ワーク・ライフ・バランスを保ちながら、1年間で資格が取得でき、実践的スキルを身につけられる登録養成課程は非常に有効な選択肢だと思います。
働きながら1年で中小企業診断士になる
開講から修了まで1年間の学習の流れ
登録養成課程で中小企業診断士になった先輩たちの声
© Nippon Manpower Co., Ltd. All rights reserved.