探究ファシリテーター
インタビュー

日本マンパワーのキャリアコンサルタント7名が、探究ファシリテーター(FT)として東京都立晴海総合高等学校様の探究Ⅱの授業を支援した事例のインタビュー記事です。キャリアコンサルタントの支援スタンス・スキルと実社会での経験を活かし、生徒がチームで取り組んだ探究活動を社会につなげるようサポートしました。各探究ファシリテーターのインタビュー記事をご紹介します。

 

各探究ファシリテーター(FT)のインタビュー記事へのリンク


●●● インタビュー記事 ●●●


高校生の気づきや行動変容をより一層うながせる
 岩澤 望 FT

探究に活きた実社会経験

  • さまざまなビジネス経験
  • 企業人事・新入社員育成

 

プロフィール

複数社にわたり、法人営業、中小企業支援、創業・起業支援、BtoBセミナ―企画運営のディレクション等を経てDXコンサルティング会社で人材開発・組織開発に従事。大学をはじめとした様々なキャリア支援活動も実践中。「人の可能性を広げたい」という思いで人材育成の道を歩む。

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1.探究ファシリテーターへの応募理由を教えてください

現在、新入社員や大学生に接する機会も多々ありますが、主体的に考えられる人材か否か二極化しているように感じます。企業内人事のため、教育研修で人材育成をしていきますが、学生の頃から「探究学習」によって自らの好きなことを見つけて試行錯誤を行い、不透明な時代を真に生き抜く力を養っていただきたいと強く思い、応募にいたりました。

2.探究授業でのご自身のかかわりと、生徒の印象的なエピソードについて教えてください

序盤の授業では、信頼関係の構築のために見守りながら「聴く」ということに徹しました。その後は、高校生には見えていない視点から問いを投げたり、発想を広げるための問いを心がけました。

印象的だったのは、手持ち無沙汰でつまらなそうにしていた生徒が、主体的に調べものをしようと動き出されたことです。また、プレゼンテーション前の最終授業では、日頃物静かだった生徒が、「頑張ります!」と元気よく大きな声を出してくれました。

3.ご自身の社会人としての実経験がどのように活きましたか

様々なビジネス経験が、様々な切り口からの問いをするために生きたと感じます。また、一方的には答えを教えないコーチングやファシリテーションの技法を知っていたことは役立ちました。さらには、プレゼンテーションで効果的に訴求するため、企画書や提案書のスライド作成の経験は役立ちました。

また、新入社員の育成経験は生きたと感じます。きちんと今までのプロセスを見ていたこと、そして、ここまでの取組みを称賛することが、高校生のやる気と行動に繋がったのではないかと考えます。

4.キャリアコンサルタントが高校現場でサポートする意味・価値をどのように感じていますか

高校の現場に、先生以外の大人が関わるということが最も大きな影響があると考えます。どのような立場で、どのような考えを持った大人がいるのかを高校生が知り、実際に触れてみることが今後を考える大きなきっかけになるのだと感じました。そして、その大人がキャリアコンサルタントであると、高校生に人として関わり合う姿勢があるため、高校生の気づきや行動変容をより一層うながせる可能性が高いのだと思料します。

5.探究ファシリテーターとしてかかわったご感想を教えてください

高校生に接することができた貴重な経験でした。こちらが想像する以上に高いアウトプットを仕上げてこられる生徒の伸び代が大変印象的でした。今後ますます正解のない時代を生き抜く環境下、キャリアコンサルタントが1on1のみならず、様々なステークホルダーと協働しながら1対多(多対多)の支援をすることで存在価値を社会に発揮していくことが重要なのではないかと実感しました。


キャリアコンサルタ ントだからこそできる問いかけがある
 七山 智恵子 FT

探究に活きた実社会経験

  • 国際NGO・国内NPO経験
  • 大学生のキャリア支援

 

プロフィール

商社勤務を経て難民支援のNGOへ転職。以来、NGO/NPO領域で人事に従事。難民支援、親を亡くした子どもたちの心の支援/経済支援、こども食堂支援などのほか、大学生のキャリアコンサルティングも実施。国内外問わず、人の「生きる」を支援することを軸に活動中。

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1.探究ファシリテーターへの応募理由を教えてください

あしなが育英会で高校生・大学生遺児のキャリア支援や、所属NPO組織内での20代向けのキャリア相談を受ける中で、学生の間に経験する「生きる力を身に着ける機会」の重要さを実感しており、今回の応募に至りました。

我が子が都内私立中学にて探究の授業を受けており、仮説、検証、再考を繰り返し、結論へ少しずつたどり着いていく姿を見てきました。学生時代のこの繰り返しこそが、自分で考える力、客観的に物事を見る力、うまくいかなかったときに精神的にリカバーするためのレジリエンス力、自分で考えを巡らせ仮説を立てる自主自立性など、社会で自立して生活をしていくために必要な力を養う場となるのだと深く感じたこともあり、探究の支援を希望いたしました。

2.探究授業でのご自身のかかわりと、生徒の印象的なエピソードについて教えてください

  • 一つの問いに対して一つの回答をして終了となる会話が多かったため、出た答えに対して「どうしてそう思うの?」「それのどこが具体的に好きなの?」「なんでそうなると思う?」「そうならないためには何が必要?」などのさらなる問いを投げかけることに努めました。最初は「えー、そこまで考えてない。」「わかんない」と答えていた生徒も、「なんでだろう?」と考え始め、みんなで意見を交わすきっかけとなったのではと感じています。
  • あまり発言しない生徒が発言し始めた時には目をみて大きく頷き、伝え返し、「もっと聞きたい」と大いに発言を励ましました。戸惑う生徒もいましたが、大人がしっかりと自分の意見を聞いてくれることは嬉しいと感じた様子の生徒もおり、思ってもみない意見や気持ちを伝えてくれた生徒もいました。
  • コンテストや題材が決まらない体育の班に対し、「どうして体育を選んだの?」と問いかけたところ「体を動かすことが好きだから」との回答を得ました。「どんなところが好き?」「他の人が体を動かすことについてみんながどう思う世の中がいい?」などの質問を一つ一つ繋げていったところ、生徒の気持ちがたくさん現れた回答がでてきたため、「その気持ちを社会に広めるための題材は何か」と問いかけ、結果、自分たちが何をプレゼンで伝えたいのか考えるきっかけとなったようでした。
  • 語学=英語、国際という考えが強くみえた班に、「語学は人々が生活するためのコミュニケーションの道具でもあるのでは」と問いかけたところ、視点が変わり、語学=国際という考え方から脱して自分たちの生活の中で言葉をどう使いたいか考えるきっかけとなった様子でした。

3.ご自身の社会人としての実経験がどのように活きましたか

  • 普段は大学生のキャリアカウンセリングをしており、学生が自分の言葉にならない気持ちを言葉にするまで時間がかかることや、狭い視野で物事をみがちな学生さんと出会う機会が多かったため、それらの経験から「問いかけて待つ」を繰り返すよう心掛けました。結果、短い期間ではありましたが最終日にはほとんどの班とラポールの構築がうまくいった(またはうまくいっている過程を経ている)と感じられました。
  • フェアトレード、外国人差別、日英コミュニケーションは、自身がかかわってきた国際NGO(難民、アフリカ支援)での経験から世界の現状や活動などの話をすることができたと思います。
  • 孤食が与える体への影響について生徒さんからアイディアが出た際には、自身がかかわってきた国内NPO(こども食堂支援)での経験から、どれだけの子どもが孤食にあり、また子どもだけでなく社会において孤立化した食事が人々へ与える影響などについて、支援者としての実際の社会の状況を話すことができました。

4.キャリアコンサルタントが高校現場でサポートする意味・価値をどのように感じていますか

生徒さんの口から、意見や気持ちがで出てきた際に、それはどこから来たもので、そこに自分のどんな価値観が現れているのかを問う、キャリアコンサルタントだからこそできる問いかけがあると信じています。全体を見ながらも、辛抱強く関わることで、生徒一人ひとりが「自分を考えること」に目を向けるきっかけになると感じております。

5.探究ファシリテーターとしてかかわったご感想を教えてください

高校生の学びの場の現状を垣間見ることができ、大変勉強になりました。楽しく生徒とも関わることができました。個性や能力、学力がそれぞれ異なる生徒さんと接することは、始まった当初は接し方の工夫に苦慮しましたが徐々に個性もわかってきてそれぞれの班に合わせたコミュニケーションをとることができましたと思っております。期間が短く、深く関わることができなかった生徒さんもいらっしゃいましたが、もう少し時間があったならばどのように信頼関係が構築できたかなど、多感な時期の生徒さんの成長に寄り添うための工夫についてじっくりと考える時間となりました。ありがとうございました。


親や先生以外の大人、適度な距離とビジネスの視点で成長に関わる
 山口 康之 FT

探究に活きた実社会経験

  • 人材事業での企画

  • プロジェクト・チーム運営

 

プロフィール

百貨店勤務を経て、人材業界にて人材派遣や人材紹介、求人メディア等に携わり、管理職を20年以上担う。企業の人材採用・育成支援のアウトソーシング部門のプロジェクトの他、高校生の職場体験事業にも責任者として従事。「人の可能性を信じる」をモットーに、1on1コーチング等の活動も実践中。

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1.探究ファシリテーターへの応募理由を教えてください

長年人材会社に勤務し社内外のキャリア支援に関わる中で感じることとして、中高校生段階で世の中の様々仕事を知り、興味を広げていくことの必要性を感じてきました。大学生以降では価値観が固定してきて柔軟に物事をとらえにくくなるように感じています。そのような中で直近高校生の職場体験事業に関わることになり、実際に高校生や教職員の方々と触れ合うことよりその必要性をさらに深く感じました。そして上記事業内での研修や職場体験を通じ、短期間内においても高校生が成長していく姿には感銘しました。高校生のキャリア支援に関心が深まりエントリーさせて頂きました。

2.探究授業でのご自身のかかわりと、生徒の印象的なエピソードについて教えてください

まず各グループの話し合いや作成の方向感を「聴く」ように努めました。その内容を肯定しながら、意見が広がるような「問いかけ」も初期段階では特に意識して実施しました。特に9月に入ってからはリハーサルまでの日程を共有して、各チームに作成を「促す」ように声掛けをしました。全体として各チームの良い意見は肯定的に受容しつつ進めました。

プレゼン資料の作成初期は各チームを巡回しながら、思考を広げるための、色々問いかけをしました。企業様向けの提案のプレゼンを聴いてからは、その内容を踏まえ、担当の先生とコミュニケーションを取りながら、作成を仕上げるように仕向けていきました。最初から、あまり企業様目線での実現可能性にこだわらず、高校生らしい自由な発想で良いとも伝えてきました。各チームの作成内容や方向感は時間経過とともに徐々に変化していった感じです。最終的には企業様のお題に対して、それぞれ個性的な内容になったと思います。各チームの内容が夏休みを挟んでどんどん変化していく様が興味深かったです。

3.ご自身の社会人としての実経験がどのように活きましたか

これまで様々なチーム運営やプレゼン資料作成、発表に関わってきた経験から、あまり最初から内容を固め過ぎない方が良いと考え、各チームに思考や視野を広げるような関わりをしてきました。FTとして作成までに至る内容の広げ方、進行管理補助という観点では自身の経験を活かす事ができたと思います。

4.キャリアコンサルタントが高校現場でサポートする意味・価値をどのように感じていますか

生徒は先生や親以外の社会人と話す機会が少ないので、高校生の成長に対して適度な距離を保ち、ビジネス的視点を持つキャリアコンサルタントが一定期間関わることには意味や価値はあると思います。一方で高校や担当の先生の意向を踏まえ、どこまで介在し、どこまで見守るのかは難しく、自分自身は先生とコミュニケーションを取りながら、徐々に変化させていった感じです。

5.探究ファシリテーターとしてかかわったご感想を教えてください

大変楽しい時間を過ごさせて頂きました。ありがとうございます。生徒は素直で熱心であり本当に感心しました。特に企業様から中間フィードバックをいただいて以降の成長は凄かったです。グループワークや資料作成のレベルも思ったより高く驚きました。その中で先生や生徒との距離感をどの程度にしていくのかを模索しながら進めてきましたが、自身にとっても大変勉強になったと思っています。最終日の発表は見ているこちらもドキドキでしたが、本当に良い発表で感動しました。高校生なりの視点をもちながら、企業様の課題にしっかり向き合った様子が充分にうかがえました。今回、高校生のキャリア教育に一層の興味が湧きました。

~探究Ⅱ ご協力企業 株式会社旺文社様の企業課題にチャレンジしたクラスを担当いたしました~

ご参考 ■ 株式会社 旺文社様 ホームページ ニュースリリース記事より

教育出版ビジネスの未来を高校生たちが考える ―― 旺文社が東京都立晴海総合高等学校の「探究II」授業に協力、“学び”について考えるきっかけに


生徒たちの考え方を感じながら、声かけをし、自らが興味関心のある内容に進めていけるよう関わる
 岡部 由美子 FT

探究に活きた実社会経験

  • SDGsや食・農

  • 大学生のキャリア支援

プロフィール

農水省の外郭団体を経て、農業系の一般社団法人で次世代育成のセミナー事業に従事。全国各地で農業塾の企画運営の他、講習会のコーディネート等を行う。次代の担い手育成を目指し、法人を設立。農業系高校生を対象にした講座の企画運営の他、専門学校、大学でのキャリア支援も実施。

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1.探究ファシリテーターへの応募理由を教えてください

食と農に関する現場で、若年層の育成事業に関わる中、高校生は、社会人に移行するための大切な時期であると、強く感じております。

私立大学のキャリアセンターでご支援する中で、高校生の時に、自身を取り巻く環境や人々への関心を深める経験がある学生や、家での手伝いやアルバイト、ボランティア、部活動、など、授業以外に多様な学びの場を経験した学生は、就活を始めるにあたっても、思考を深めるフックになる経験も多く、社会人としてどのようにありたいか、どんな仕事を通じて成長したいのか、考えも深めていきやすいと感じています。

経験や思考の幅を広げること。その場を安全であたたかな学びの場として準備することはキャリアコンサルタントとしても大切な仕事であると思っております。

現場の先生方やご一緒する方々とも連携をとりながら、私自身も成長する機会として、関わらせていただきたく、応募いたしました。

2.探究授業でのご自身のかかわりと、生徒の印象的なエピソードについて教えてください

答えではなく、「なぜそう考えたのか」「なぜ、その企画をやりたいと思ったのか」など、決断の経緯や理由を問うようにしました。なぜ、を何回か繰り返していくと、自分でやりたいことがだんだん見えてくる様子を感じました。作業が進む中でも、その考えや出力した内容について、共感した点を中心にフィードバックしていくと、その内容について更に調べてまとめてくることもありました。

ある班がテーマを空き家の活用と決めてから、どう考えるか混沌としていた様子の時、空き家を誰に使ってもらいたいと考えたのか、なぜその課題に取り組みたいと考えたのか聞いてみると、班員の共通の視点が「子ども」であったため、どこの子どもを想定しているか、都会か地方か、どこか、、と聞いていく中で、ターゲットが明確になっていった様子でした。

別の班では、子どもの孤食について考えたい、と子ども食堂に行って実際に体験する中で、「孤食」よりも集まる食材の偏りが現場の一番の困りごとだと感じ、どう展開したら良いか迷っていたことがありました。食材の偏りはどうしたら改善できるか、など質問していく中で、生鮮のため保存できないなら、乾燥させて保存できないか、またただ乾燥させるだけではなく、子どもたちが楽しめるようなことはできないか、など、思考が展開して行った様子でした。

3.ご自身の社会人としての実経験がどのように活きましたか

今回、自然科学と社会経済の担当でしたが、生徒たちの課題が食品ロスやSDGsなど、私の仕事の範囲と重なるところもあり、質問があった際には検索する際の留意点や公開されている資料の見つけ方など、伝えることがありました。大学のキャリアセンターでの学生との面談での関わりも、問いかけの視点など、お陰様で役にたつことがありました。

4.キャリアコンサルタントが高校現場でサポートする意味・価値をどのように感じていますか

授業の一環、という観点からだけではなく、生徒たちの考え方を感じながら、声掛けをしていくことと、その思考を無理にガイドするのではなく、生徒たち自らが興味関心のある内容に進めていけるよう関わることがキャリアコンサルタントが関わる価値、と感じています。

5.探究ファシリテーターとしてかかわったご感想を教えてください

学びの多い半年でした。他のファシリテーターの皆様の関わり方から学ぶことも多く、また生徒たちの柔軟な考え方に刺激もいただいた取り組みでした。


生徒にすぐに答えを渡さず、考えさせる、という関わり
 野田 幸代子 FT

探究に活きた実社会経験

  • 企業組織での社員のキャリア支援

プロフィール

食品メーカーにて、営業、マーケティング、経営企画に携わり、現在は、国内グループ社員のキャリア形成支援に従事している。

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1.探究ファシリテーターへの応募理由を教えてください

現職が、社員のキャリア形成支援であり、セミナーやキャリア相談で接する中で、入社後、リアリティショックや他者との比較の中で自己肯定感が下がっていく若手社員を多く見てきました。若い世代のことをもっと知り、寄り添い、応援したいというのが、応募理由の一つです。

また、特に探究の授業については、仕事で少しご縁があったことがあり、高校生が自ら考え、行動を起こし、それを踏まえてさらに考える、といった探究の授業が生み出す化学変化のようなものを後押しできるような関わりができればと考えました。企業人ならではの視点や経験を役に立てられるのではないか、というのも応募理由の一つです。

2.探究授業でのご自身のかかわりと、生徒の印象的なエピソードについて教えてください

どういうふうに話し合ってコンテストを決めたのか(前半の山場)、大変だったところや、工夫したところなど、生徒が誰かに聞いてほしいところはどこだろう、と思いながら問いかけ、いいところを必ず見つけて承認する、という関わりを意識していました。

担当クラスは、美術、音楽の作品を仕上げることが中心であり、専門的なアドバイスは先生がしてくださいますので、ファシリテーターとしては、頑張っていることや工夫したところを承認するような声かけを心がけていました。褒められると、ぱっとうれしそうな(時には照れるような)表情になるのが、印象的でした。

3.ご自身の社会人としての実経験がどのように活きましたか

組織の中で、多様性や個性を尊重し、否定せず受け止めること。承認されることで、自己肯定感が高まり、自分らしく働く(生きる)ことを支援できること。社員一人一人の可能性を信じること。これらの経験は、高校生と接するときも活かされたように思います。

4.キャリアコンサルタントが高校現場でサポートする意味・価値をどのように感じていますか

高校生に自ら考えることを促すために、コーチング的な役割で関わるような場面では、キャリアコンサルタントの専門性が活かせると思います。将来のキャリアを考えるような場面はじめ、今回のような探究の授業でも、生徒にすぐに答えを渡さず考えさせる、という関わりを求められる場面では、キャリアコンサルタントの基本的スキルや経験が役に立つのではと思います。

5.探究ファシリテーターとしてかかわったご感想を教えてください

学校側に期待されていた役割をどれだけ果たせたのか、、、という思いはありますが、個人としては、大変貴重な経験をさせていただき、このような機会をいただいたことに感謝しています。これから何者にもなれる瑞々しいしい高校生に接することはとても新鮮でした。今回、一緒に参加されたファシリテーターの皆さんの関わり方を知ることは、良い刺激となり、自分にはまだまだ不足している部分が多いと痛感しました。今回の事業に参加させていただいたことで、教育現場への興味、関心が高まり、今後もライフワークの一つとして関わっていきたいと思うようになりました。


企業と生徒の<橋渡し>を行い、将来や現実につなげる
 佐々木 実里 FT

探究に活きた実社会経験

  • オフィス用品通信販売の新規事業立ち上げ

プロフィール

文具オフィス家具メーカーにてオフィス用品通信販売の新規事業立ち上げに従事。事業が急成長し分社独立した事業会社に転籍、上場及びIR業務他多岐にわたる業務を担当。退職後、個別指導塾で講師として小学生から高校生までの学習面での支援に従事。小学校の特別支援学級の学校生活サポーターも担当。

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1.探究ファシリテーターへの応募理由を教えてください

大学卒業後携わった新規事業では未知の分野の開拓ということで、立ち上げメンバーと協力し、様々な事柄を検討及び実施、失敗点を改善し、多くの困難を克服して、事業を成功させてきました。

個別指導塾の講師となって感じることは、教育界と産業界に大きな隔たりがあることです。バブル経崩壊後、産業界は大きな変革を求めら、その環境下で新規事業会社も誕生しました。一方、教育界は伝統的な暗記型教育に固執する面があるように思います。大きな変革を必要とされる産業界が学生に求めている能力を、従来の教育ではなかなか習得できないような気がしております。

その影響は学生が社会人になる段階で「雇用のミスマッチ」等に出てきていて、若者達も苦しんでいるような気がしております。学習塾の授業では、産業界の経験者として、世の中で必要な能力の育成を、非力ながら心掛けて支援してきました。

その教育界も、近年、探究学習、キャリア教育等を導入し、変化が見られます。新規事業立ち上げの経験等から、自ら探究する力はこれからの社会で必須であると考えております。探究する力は一人で教科書を読めば習得できるような性質のものではないため、学校教育の中で、グループワーク等を活用しながら、日常から時間をかけて育んでいくものと考えております。探究学習の必要性は高まっていると認識しております。

ぜひ、探究の授業に参加して、高校生を応援していきたいと考えました。

2.探究授業でのご自身のかかわりと、生徒の印象的なエピソードについて教えてください

各班の様子を見ながら困っていそうな生徒に声掛けして、生徒からの質問を待ち、説明や補足をしました。ほしいデータが見つからず、困っていた班があったのでクラスでのアンケートを紹介したところ、実施することになりました。アンケートではクラスメイトや先生からの意見も聞けて、納得の結果が得られました。この結果はプレゼンにも入れて提案にも反映されていました。企業のご担当者様からも好評でした。生徒に具体的な対策を促したのは「クラスアンケート」のみだったと記憶しています。

別の班では、議論が堂々巡りをしている様子が見られたので、生徒の説明を聞きました。物流関連の課題対応で、自分達は「歩合制」を主張したいが、昨今の2024年問題等から時代に合わず不適切な意見なのではないかと躊躇していました。具体的な内容の助言はせず、提案に添える一言に止め、「高校生の意見として発言すれば」とアドバイスしたところ、すっきりした様子で作業を進めていました。企業様を訪問して、オフィスでのプレゼンの機会がありましたが、提案内容にその「歩合制」を入れていて、企業のご担当者様からも「ハイレベルなドライバーの確保の対策の一つ」との評価を得ていました。

3.ご自身の社会人としての実経験がどのように活きましたか

新卒入社会社で携わったオフィス用品通信販売事業立ち上げの経験は大いに活きました。今回のクラスで取り組んだ企業課題の大手物流サービス会社と自身の所属していた会社は多くの業務上の共通点があり、また、企業がお客様を大切にし企業理念を重視しながらサービスを作り込む姿勢もかなり似ていて、共感するところが多くありました。企業担当者様から各班の中間発表にコメントを頂きましたが、私自身がかなり納得して理解できたので、発表後の各班の作業につき、生徒が困っていることに対し、その企業的な発想や解釈を説明することが出来ました。結果として、企業様が望んでいる具体的で実現可能そうな提案をプレゼン出来て、ご担当者様からも高い評価を得られたのではないかと考えています。

4.キャリアコンサルタントが高校現場でサポートする意味・価値をどのように感じていますか

今回のような企業の課題を提案する活動において、キャリアコンサルタントが高校現場でサポートする意味・価値を大いに感じました。今回の私の役割は、生徒と企業の<橋渡し>をすることでした。先生方の多くは、企業の論理や内部事情などはあまりご存じないかと思いますので、その部分で果たせる役割が大きかったと思います。多くの生徒達は高校や大学を卒業後、企業に就職するので、高校の段階で企業に接することは社会の現実を知るという点で意義があると思います。今回、生徒の探究活動にかかわることで、企業との間に入って、生徒の取り組みを実社会の課題に<橋渡し>をするサポートができたのではないかと思いました。学部選択等においても、「得意不得意」「偏差値」だけではなく、企業の中で起きていることや具体的な仕事をイメージし、将来を考えながら行うことにつながり、生徒の意識向上にも役立つのではないかと考えます

5.探究ファシリテーターとしてかかわったご感想を教えてください

高校の現場でキャリア教育を行うという貴重な経験をさせて頂き感謝しています。担当したクラスは熱意ある学校の卒業生が企業のご担当者として支援され、各生徒が真剣に取り組み、提案内容も論理的かつ実践的なものに仕上がり、企業様オフィスでのプレゼンも大成功で、非常に満足しています。一方で、今後に向けては、企業のご担当者の協力確保や多忙な先生方のご対応などの課題もあるように思います。方向性は時代に合ったものだと思いますので、課題を克服され、更なるご発展を願っております。


高校生に対して「キャリアの見通し」を伝えられる
 島田 亜矢子 FT

探究に活きた実社会経験

  •  マーケティング
  • 企業での人材採用

 

プロフィール

外資系食品会社日系消費財メーカーの2社で20年以上マーケターとして商品企画に携わり約10か国に商品発売。その後、マーケターの働き方改革や人事として採用・研修業務を担当。

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1.探究ファシリテーターへの応募理由を教えてください

これから大人として生きていく入口に立つ生徒さんと関わり、間接的にお役に立てることができればと思って応募いたしました。

きっかけはキャリアコンサルタントの資格を取得し大学生のキャリア支援に関わる中で “家族以外の大人と話す機会が今までなかった”という発言が多々あり、気になったことでした。

これまでのビジネス経験では、国境を越えたビジネスを通して多様なメンバーと力を合わせて仕事をする楽しさ、難しさを体験してきました。また、商品を企画し世の中に出していくことで正解のないことに向き合い続け、自ら問いを立てることの大切さを痛感しました。一方で個人としては、会社都合での退職や、キャリアをセーブする時期があり、順調なキャリア形成ではないものの、周囲に助けられ知恵を絞って乗り越えてきました。幅広く学ぶこと、好奇心のアンテナを立てることが自分を救ってくれました。

このような自分の経験から考えると、学生時代に自ら「問い」を立て分析し解決提案をすることを学ぶことも大切なのではないかと思います。

探究の授業でも「自ら問い」を立て、その問いを解決するためにマーケティングのフレームを活用し、サポートすることもできるのではないかと思いました。

2.探究授業でのご自身のかかわりと、生徒の印象的なエピソードについて教えてください

序盤では「なぜこんな忙しい受験の時期に探究授業をやるのか」と生徒達に問われ、1週間考えた結果、「企業の採用担当者の経験として高校・大学時代から一貫して興味を持ち続けているテーマがある人は面接で話しが弾むこと、チームで意見交換をして1つのテーマを練り上げる経験はビジネスでは日常的で大切なことなのだ」と言葉をかけました。それ以降、その生徒達もチームの話し合いに参加するような姿がみられるようになりました。もしも今回の授業が未来の自分のために役に立つかもしれないと感じたのであれば嬉しいなと思いました。夏以降の班活動では発表に向けた問いかけを意識しました。私自身がマーケティングが専門なため、内容に目途がついているチームはプレゼン資料に「数値化」「可視化」「類似サービス比較」などを盛り込めるか、アイディアが発散するチームには他チームよりも重点的に巡回し、「ターゲットは誰か」「ターゲットのインサイトは」と問いかけをしたところ話し合いが活発になり資料に変化が生まれました。高校生はちょっとした刺激で短期間に成長することを目のあたりにし驚きました。

コンテストで勝ちを意識するための資料作りとして「ターゲットが何を求めているか、ライバルとなる過去の入賞作品の評価ポイントを理解すること、自分たちの独自性・強みはどこにあるのかというマーケティング3Cフレームを意識するとよい」とずっと授業内で伝えていましたが、あまり積極的に関わることができなかったチームが発表資料に過去のコンテストの入賞作品の分析というスライドをいれており、声かけが伝わったのであれば嬉しく思いました。

3.ご自身の社会人としての実経験がどのように活きましたか

マーケティングの専門については大いに活かされたと思います。当初はみなさんファシリテーターを警戒している様子がありましたが、夏前には”ターゲットの設定はこれでよい?”などと声をかけられてマーケティング的な意見を求められるようになりました。その際は、なぜそう考えたのかと会話のキャッチボールをすると、ターゲットへの興味の起源が高校入学前にあったことに気が付いたり、高校生として普段の生活の中で感じた不便さを社会課題につなげられることに気が付くような姿が印象に残りました。

採用面接官の経験も活かされたと思います。テーマが絞りきれず話し合いが進まないチームには、自分の体験を元に話しあってみたらどうかと問いかけました。というのも採用面接で学生時代の経験を聞くのは、その人らしさを知る手がかりになるからで、自分の体験は説得力があると伝えたところ、子どもの頃にあったらよいなと思ったというメンバーの話しに共感し盛り上がる姿が印象的でした。

4.キャリアコンサルタントが高校現場でサポートする意味・価値をどのように感じていますか

高校時代の授業も将来のキャリア選択に結びつく活動だということを考えるような「促し」を意識して現場で関わりました。高校生に対して「キャリアの見通し」を伝えられるのは、身内である先生よりも距離が遠い社会人経験のあるキャリアコンサルタントならではと思います。

5.探究ファシリテーターとしてかかわったご感想を教えてください

これまでは大学生や企業組織人に対する支援をしており、高校生は今回はじめてでした。初回に授業内でコメントをした際に、生徒が静まり返った後で校長先生のありがたいお話のように拍手され、自分の話し方が大人向けだと気が付き衝撃を受けました。以降はなるべく端的に指示文に近い話し方を心掛けチューニングした結果 “しまちゃん”と、呼び止められアドバイスを求められるように距離が縮まりました。大人と違い高校生は肩書や名刺も通じず、忖度せず、自分に何をしてくれるかをよく見ており手強いです。先生方のプロフェッショナルなファシリテーション技術や生徒さんとの距離の取り方を間近で学ばせて頂き、私自身の職場での若手との接し方が変わりました。毎回自分の引き出しを全てあけて提供する気持ちで参加し充実していました。


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キャリアコンサルタントによる
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お問い合わせ先
 ~具体的なご相談・ご依頼については下記までお願いいたします~

キャリア支援事業準備室 tankyu@nmp-g.jp
※上記メールアドレスよりお問合せください。折り返し担当よりご連絡させていただきます。
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