中小企業診断士を目指す方であれば、「登録養成課程」という言葉を聞いたことがあるかと思います。1次試験を合格した後、中小企業庁の示すガイドラインに基づいた演習と実習により構成されたカリキュラムを修了すれば、2次試験および実務補習等が免除されるというものです。
しかし、登録養成課程のメリットは、「2次試験を受けなくても資格を取得できる」ということだけではありません。むしろ、「資格を取得してからのメリットの方が大きい」という修了者がほとんどです。また、登録養成課程を実施している機関は全国に複数ありますが、「日本マンパワーの登録養成課程を受けて本当に良かった」という声が後を絶ちません。
その理由はいったい何でしょうか。弁護士として活躍しながら、登録養成課程を修了し、現在はダブル資格を活かして中小企業を支援している上野真裕さんにお話をうかがいました。ぜひご一読いただき、みなさんの将来にお役立ていただければ幸いです。
今回お話を聞いたのは・・・
中小企業診断士(第13期登録養成課程修了)
弁護士
上野 真裕 さん
私は2003年に弁護士登録をし、2007年10月に独立開業しました。30歳代半ばのことです。小さな事務所ではありますが、顧問先も何社かあり、比較的安定した状態で続けていました。しかし、良くも悪くも同じ状態が続いていました。2000年前後以降からは国による司法制度改革が行われたことで弁護士数が年々増加し、競争も激しくなってきました。
「このまま小規模な町の弁護士を続けていて、この先20年以上もやっていけるのだろうか?」
そうした不安が徐々に大きくなり、強い危機感を持っていました。
「弁護士業務の質を高め、幅を広げるような、何らかの専門性を身につけなければ・・」
そう考えて出した結論が、中小企業診断士(以下「診断士」)です。私のお客様には中小企業が多く、お客様から受ける法的相談には必ずと言っていいほど経営が関連するからです。たとえば、契約書に関するご相談を受けたとします。そうすると弁護士は、契約書の文面が法律的に正しいか、あるいは、お客様に有利に働くか不利に働くかの判断などをします。でも、「そもそも会社にとってこの契約を結ぶべきかどうか」というような経営上の助言はできません。つまり、弁護士資格でできることは、経営全般の中の一部でしかないのです。
しかし、診断士のスキルを得られれば、経営者と同じ目線で考え、支援することができます。資格がなくても経営コンサルティングをすることは可能ですが、資格を取得していれば自分の品質保証にもなります。そう考えて、診断士資格の取得を決意しました。
診断士の勉強を本格的に始めたのは2014年です。働きながらでしたので思うように勉強がはかどらず、1次試験に合格したのは2018年でした。その年の2次試験も受験しましたが、残念ながら不合格でした。
登録養成課程の存在はそれ以前から知っていましたが、自分にはあまり関係のないものだと思っていました。なぜなら、「長期休業して通う」という間違ったイメージを持っていたからです。長期休業することなど、私には考えられませんでした。しかし、雑誌広告で日本マンパワーの登録養成課程を知って、そのイメージが払拭されました。
「仕事をしながら通えて、1年間で資格を取れる道があるんだ!」
早速、無料説明会に参加して、詳しい話を聴きました。
日本マンパワーの授業は、平日の夜間と土曜日の昼間。フルタイムで働きながら通いたい私にとって、最適な通学条件でした。しかも、わずか1年間で修了することができます。いつ受かるかどうかわからない受験勉強に時間を費やすよりも、早く資格を取って実務に活かした方が自分には得策のように思いました。実践的な勉強を体系的にできることにも惹かれました。
そして何より、説明会の雰囲気が明るく、活気があって楽しそうでした。
「この雰囲気は、自分に合っている」と直感し、日本マンパワーで受講する決意を固めました。
ちなみに、日本マンパワー以外にも、平日の夜間と土日を組み合わせた通学条件の登録養成課程実施機関はあるのですが、2年コースだったり修士論文の作成が必要だったりして、私には負担が大きいように感じました。
私が受講したのは2019年3月から2020年3月までで、日本マンパワー・登録養成課程の第13期生となります。同期のクラスメイトは自分を含めて24人。大手企業、金融機関、IT関連企業、士業など多様な業種から集まった、個性あふれる面々でした。私と同じ弁護士の方もいました。
カリキュラムは、6月過ぎまでは座学による講義です。助言能力、経営戦略、財務・会計、人材マネジメント、情報化戦略、マーケティング戦略、生産マネジメントなど、診断士として必要とされる理論をみっちりと学習しました。7月以降になると診断実習が開始し、実習と実習の間に講義が入ります。1年間を通して、非常に実践的な内容を体系的に学べるカリキュラムだと感じました。
強く印象に残っているのは、診断実習です。8人1組のグループで計5回の実習を行うのですが、得意分野やバックボーンの異なるメンバーが真剣に取り組むため、ものすごく刺激的で貴重な経験になりました。
私は一度も会社勤めをした経験がありませんので、あらゆることが勉強になりました。特に1~2回目の実習では慣れないことばかりでした。たとえば、パワーポイントやエクセルを使っての資料作成。日頃の弁護士業務ではほとんどワードで文章を書くだけですが、実習を通して図表や写真で説明する能力を身につけることができました。また、人前でのプレゼンテーションも実習の場が初めてでした。そのため、本番前のリハーサルでうまく話すことができず、講師の先生から注意されたこともありました。ただ、50歳近くなり、日頃の業務で人から注意されることは少なくってきたので、率直に指摘してもらい、有り難いと思いました。
最後の実習では、リーダーに立候補しました。ほぼ1人で完結する弁護士業務と違って、診断士業務はチームで行うケースが多々あります。それぞれの得意分野を活かしながら、限られた期間内に品質の高い診断を行うためです。リーダーの経験は、そうした資格取得後の業務に役立ちます。私の場合は、他のメンバーの考えを尊重し、モチベーションが高まるように心がけ、診断先企業に対して的確な報告ができたように思います。
これら5回の実習でクラスメイトとともに作成した診断報告書(注:実習の最終日に診断先企業の経営者に提出する報告書)は、私にとって貴重な財産です。今でも時々見返し、業務の参考にしています。
現在は、弁護士と診断士の2つの資格を活かして、中小企業支援に取り組んでいます。まだ道半ばではありますが、国の補助金申請や中小M&Aの支援などを積極的に行っています。書籍への原稿執筆の依頼もいただけるようになりました。今後はさらにスキルと経験を積み、法律を含めた経営全般での幅広い支援ができるように努めたいと思っています。
こうして今振り返ると、日本マンパワーの登録養成課程を受講して本当に良かったと思います。すでにお話しした座学・実習での学びはもちろんですが、人脈が大きく広がりました。具体的には、同期の有志で有限責任事業組合(LLP)を設立して活動したり、別の有志とコンサルティンググループを結成したり、講師の先生が主催する複数の研究会に参加したりしています。同期のLINEグループもあり、いつでも連絡を取ることができます。1年間、一緒に勉強してきた仲間なので、とても結びつきの強いビジネス・ネットワークになっています。さまざまな情報交換はもちろん、「この分野ならこの人に聞こう」「あの人に頼めば解決できそうだ」など、お互いの得意分野を活かしてつながることができます。実際に、仕事の相互紹介や共同受託などにもつながっています。本業である弁護士業務についてクラスメイトや講師の先生からお客様を紹介していただいたこともあります。
また、2021年4月には「日本マンパワー修了生の会」というOB・OGによる自主組織が発足しました。これは、登録養成課程修了生を“縦につなぐ”会で、現在約90名が登録しています。ここでの定期的な会合や勉強会も貴重な機会になっています。
こうした人と人とのつながりは、すべて日本マンパワーの登録養成課程をベースにしたものです。日本マンパワーには人間的な結びつきを大事にする雰囲気があるのかもしれません。私はここで学ばなければ今の新しい活動はできていなかったはずなので、関わったみなさんに心から感謝しています。
この記事を読んでいらっしゃるみなさんは、おそらく、日本マンパワーの登録養成課程に通うかどうかを検討されていることでしょう。登録養成課程に通うためには、費用のこと、時間のこと、仕事との兼ね合い、家族の理解など、自分の状況と照らし合わせてさまざまなことを考える必要があるかと思います。私もそうでしたからよくわかります。ただ、もしそれらの調整をつけることができるなら、思い切って登録養成課程に通うことをお勧めします。
日本マンパワーの登録養成課程を受講すれば、すばらしい仲間、頼りになる講師の先生、温かい事務局スタッフに出会えるはずです。修了後も、登録養成課程出身の先輩方を含め、有意義なビジネス・ネットワークを実感できます。
私たち第13期には辛口の発言をする人が比較的多いのですが、誰からも日本マンパワーで登録養成課程を受講したことについて不満を聞いたことがありません。それほど、みんなが受講に満足しているということだと思います。
みなさんがもし日本マンパワーで受講されたなら、同じ出身仲間として一緒に診断士活動に取り組みましょう!
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