現状の課題にきちんと対応し、誰もが学べ、
成果につながる通信教育制度を拡げていく
株式会社ビー・エム・エル(BML)様 導入事例

 株式会社ビー・エム・エル(BML)は、臨床検査の受託業務を中心に、医療情報システムの販売も取り扱う会社です。臨床検査とは医療機関で行われる血液などの検査のことです。
 BMLは、クリニックや病院で採取した血液や尿などを預かって検査を行い、その検査結果を報告するというサービスを提供しています。
あわせて、自社開発した電子カルテシステムの販売など、医療情報システム事業も展開しており、国民の医療に多角的に貢献しています。
 今回は、通信教育制度が、社員の人財力の向上にどのように役立っているか、現状や今後の課題も含めて、人事部教育研修課のご担当とその上司の方からお話を伺いました。

■状況を踏まえた強化テーマの設定や学習に対する環境整備などの施策が、 
 高い受講率や修了率に結びつく

ー貴社の研修体系における通信教育の位置づけと、その概要をお聞かせください。


 弊社の研修体系は、次の図のようになっています。

研修体系図

 通信教育は、オンラインコンテンツなどとともに「自発型研修」の中に位置づけられており、自主学習の機会として提供しています。

 もともと通信教育制度は自己啓発の一環として行われていましたが、2008年から昇進・昇格要件にも組み込まれるようになり、現在、通信教育は以下の2つに大別されています。

1.自己啓発講座(修了者に受講費用の50%を補助)

2.会社推奨講座(修了者に受講費用の70%を補助) ※全職域共通を含む階層別講座

 現在、紹介している約200講座のうち、90%余りが「2」のカテゴリーに入り、受講者数の約8割が選択しています。

 この通信教育制度はBMLグループ全体で実施されており、受講者数は毎年3,500名前後で受講率40%以上、修了率は平均で約75%と、高い実績を示しています。

2023年 受講者数と修了率・修了者数

 階層別研修の通信教育は、昇進・昇格のための要件の1つとして位置づけられています。例えば、一般職から副主任候補に上がるには、会社推奨講座を2講座以上修了または国家試験合格が必要です。また、課長職から次長職への昇進の際には、年間1講座以上修了することが要件となっています。各要件の対象講座には、それにふさわしいものを複数用意し、社員はそこから自由に選択することになっています。昇進・昇格を目指す人はもちろんのこと、皆さん自発的に通信教育を受講しています。

ー貴社の通信教育制度の特徴や工夫について、具体的にお聞かせくださ

 自己啓発の一環としてだけで行われていた時代には、受講者数が年間で100名程度だったこともありましたが、これまで受講促進の各種取り組みを実施してきた結果、現在の受講者数まで増えました。前述の受講費用補助のほか、通信教育団体の協力をいただいて、実際の教材を社内に展示し、手に取って内容を確認できるようにしたり、受講費用補助制度の対象を、役員のほか、アルバイトまで含めた全従業員にまで拡大したことなどです。グループ会社の増加により裾野が拡がり、さらに昇進・昇格要件化も相まって、現在のような受講状況につながりました。
 また、毎年強化テーマを定め、それを推奨講座としています。
 強化テーマは、募集の案内の中で明示するとともに、該当講座には印をつけています。
 講座は毎年、ラインナップを見直し、約2割程度を入れ替えています。新規講座や初めて案内する講座には「NEW」のマークを付け、ひと目でわかるようにしています。
 近年の強化テーマの1つに「コミュニケーション」があります。例えば、ハラスメントの問題にしても、部下とのコミュニケーション不足や欠如に起因することも多く、そうした状況もテーマ化につながっています。実際に、人気講座を見ると、「言葉遣い」や「話し方」などのコミュニケーションや「報・連・相」「ほめ方」といったビジネススキルが多く、対人関係の課題に対応する講座の受講が増えています。
 強化テーマの明示が受講に結びつき、人気ランキングに掲載された講座は受講が増加するといった動きが見られ、受講促進に役立っていると実感しています。毎年欠かさず受講している人や、一度に複数講座を受講する人にとっては、新規講座の導入が講座選択の大きな目安となり、マンネリ化の打破という点でも欠かせません。
 また、人事部では2023年を「学び直し元年」として、リスキリング(職業能力の再開発)やアップスキリング(既存能力の改善・向上)を強力に推し進めてきました。弊社には、検査業務に携わる社員が多くいますが、専門的な知識だけでなく、広くITリテラシーや経営に関する知識を身につけていただきたいと考え、ITパスポートの取得を強く推奨しています。そこで、「ITパスポート」の資格取得講座を新たに加えたところ、多くの方が受講し合格者も増えています。
 さらに、利便性の向上を目指して、2021年から受講申し込みをWeb化しました。また併せてWeb上で課題提出を行う講座を増やしたことが、相乗効果として申し込み増加につながったようです。受講管理をする立場からは、受講申し込みのWeb化は業務効率化につながりました。
 以前は通信講座の案内はA4サイズの大きな冊子であったため、『通勤中の電車内で広げるのはちょっと恥ずかしい』という声もありました。それがWeb化により解消されると同時に、教材の選定では、直接、教育団体のHPにアクセスできるようにしたため、関心のある講座についてより詳しく調べることができるなど、便利になりました。

通信教育募集案内パンフレット

ー学習を積極的に行っていく風土の醸成や環境整備についてお聞かせください。

 学習に向けた環境を整えていくことと、勉強に対する職場の肯定的な空気といったものも、通信教育の高い受講率や修了率につながっていると思います。受講率や修了率のアップに向けて教育担当が声を大にしなくても、各部署で上司が積極的に声かけを行って、受講の勧めや受講状況の確認をしてくれているようです。部下の進捗状況の問い合わせなどもよく入ってきます。
 検査系の社員は、入社前に臨床検査技師の資格を取得している人も多く、入社後すぐに次の資格取得を目指すなど、勉強には慣れているようです。昼休みに食堂で教材を広げて勉強する姿が日常的に見受けられるなど、学習しやすい環境が自然に醸成されているといえます。

 また、採用面接時に「資格取得のための環境は整っていますか」という質問を受けることがありますが、通信教育制度をはじめ、自主的な勉強会やオンライン研修など、いろいろな機会があることを伝えると安心していただけているようです。通信教育の受講や資格取得に向けて費用補助制度が整備されている点なども、他の福利厚生の充実とともに、評価されているのかもしれません。
また、弊社教育部門が作成した1テーマ10分程度で修了できるe-ラーニング研修を、月に4本のペースで開講しており、すべての正社員に受講必須としています。
人事部としては、多様なテーマをいろいろな方法で学習する環境を整え、常に勉強するのは当たり前という風土作りを心掛けています。

ー今後に向けての課題や改善点としては、どのようなことをお考えでしょうか。

 通信教育講座選定にあたっては、教育団体から提案を受け、トレンドを教えていただいています。英語を多用する部署からは、英会話の講座を入れてほしいなどの要望が寄せられたこともあります。希望をヒアリングする仕組みを特に設けているわけではありませんが、要望があればその講座を取り入れることもあります。今後は、アンケートなどの、社員からの声を取り入れる手段を検討したいと思っています。
■新たな状況にも対応し、働きやすい職場づくりを目指す

ー今後、強化していきたい取り組みについてお聞かせください。


 新型コロナの影響によって、コミュニケーションの取り方が変わり、新たなメンタル不調の問題が発生するといった昨今の状況を踏まえ、ハラスメントやコンプライアンス、メンタルヘルス関連の教育にも力を入れています。特にメンタルヘルスの問題は、職場の人間関係がうまくいかない、上司と部下のコミュニケーション不足などが原因の一つとされており、通信教育がその解消の一助になればと考えています。
 また、エンゲージメントの向上にも努めており、働き甲斐を感じられる職場づくりを目指しています。
 若い世代は、子どものころからSNSを活用してきた世代であり、自分が属するコミュニティを大切にしているのが特徴ともいわれています。そのためか、「認められたい」「共感してほしい」という欲求が強い人が多く見受けられます。自分の仕事の価値というものを気にする一方で、転職に関しては結構ドライな面もあります。そうした部分への対応も必要となります。特に上司が、部下の指導・評価を適正に行えているか、人間関係に気を配っているか、過重労働にならないよう配慮しているか、など、働きやすい職場づくりに向けた教育が重要です。通信教育のテーマ選択も、そうした点を考慮していきたいと思います。

(2024年8月1日取材)

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